地熱発電に関する情報

地域とともに

発電所は長年にわたり運用するものです。それゆえ、地域の方々との共生を第一に考えます。特に地熱発電は地産地消の電源として、地域の方、周辺の温泉関係の方に理解を頂くことが重要です。そのため、地熱発電の調査・開発を行う場合には、地域協議会の設置や説明会の開催、対話等を行っています。

地熱発電のための調査・開発を行う際は、並行して温泉モニタリング等の環境調査を行い、周辺環境への影響の有無を調べています。

地熱発電に伴って発生する熱水については、地域協議会等の場を通して、地元で有効利用できるように努めています。

  • 住民説明会風景

    住民説明会風景

  • 地域協議会風景

    地域協議会風景

地熱発電に伴い発生した熱水は、還元井から地下に戻されますが、地下に戻す前の熱水の熱を発電以外の用途に有効利用することができます。また、温泉も同様に(温度帯により様々な利用方法があります。)自噴する温泉の蒸気や熱、あるいは温泉水そのものを利用することができます。
このように地熱や温泉を発電以外に利活用することで、地域の産業に貢献している事例を紹介します。

地熱利用の例

地熱利用の例

事例1 木材乾燥(熊本県小国町)

阿蘇小国杉のくらし(小国町森林組合)から地熱蒸気による木材乾燥についてお話を伺いました。

阿蘇山の裾野に位置する、九州有数の人気の温泉地・熊本県小国町。
岳の湯地区から自噴する地熱蒸気を利用した木材乾燥施設は、化石燃料や電気を使わずに木材を乾燥させ、良質な建材として出荷することができる全国でも珍しい施設です。
従来の乾燥技術のように多くの二酸化炭素を排出することなく、自然環境に負担をかけない低炭素な乾燥技術として注目されています。
地熱蒸気温度は100度以上あり、パイプからの輻射熱で倉庫内温度が50〜60度に保たれます。
そのため、木材を緩やかに乾燥することができ、木材への負担も抑えられ、木が持つ本来の色艶や成分が保たれた状態となり、仕上がりがとてもいいと建築業者や施主からも喜ばれています。
なお、施設を運営する小国町森林組合では、地域資源である地熱を活用し、ブランド材「小国杉」の価値を高め、持続可能な林業や地域づくりを進めていきます。

  • 地熱利用の例 木材乾燥
  • 地熱利用の例 木材乾燥
  • 地熱利用の例 木材乾燥

写真提供:小国町森林組合

事例2 地熱蒸気による染色(岩手県八幡平市)

株式会社 地熱染色研究所から GEOCOLOR 地熱蒸気染色についてお話を伺いました。

GEOCOLOR 八幡平地熱蒸気染色は、松川温泉に噴出する天然の地熱蒸気を直接的に利用し、世界でも他に類を見ない染色技法で約40年続いており、この地ならではの資源活用事業となっています。
ここ最近は地熱資源への注目が高まるとともに、地域貢献や資源活用事例の一つとして国内外から視察や染色体験にこ来られる方々も多くなっています。
染色品の製造販売だけでなく、染色体験のほか、この地でしか体験できないコンテンツとして観光や資源学習などの面でもサービスを強化し、地域学習とともに環境学習や火山防災学習の定着にも寄与しています。 なお、染色体験もできます。

地熱蒸気染色に使われる地熱蒸気の温度は約100度です。松川地熱発電所から工房へ蒸気が供給されており、配管で蒸気を引いてくるため季節の変わり目など、外気温度差が激しい時には蒸気温度に多少の変動があります。その日の蒸気の温度や湿度によって、染める素材や色合いのために染料調合をしていくので長年の経験と技術、感性が重要となります。
ちなみに、絞り染めで、数種類の染液に漬け込んでいきます。色と色が重なりあい、地熱蒸気の成分で「脱色」され、地熱蒸気の熱で「色が定着」されます。

  • 地熱利用の例 地熱蒸気による染色
  • 地熱利用の例 地熱蒸気による染色
  • 地熱利用の例 地熱蒸気による染色

写真提供:株式会社 地熱染色研究所

事例3 野菜乾燥(秋田県湯沢市)

秋田県湯沢市の湯沢市皆瀬農業技術開発研究施設(あぐり館)から乾燥野菜についてお話を伺いました。

あぐり館では、温泉のお湯を利用した野菜乾燥(リンゴ、トマトや大根など)を販売してます。
乾燥機は、70℃のお湯に風をあて熱だけを利用してます。その熱で野菜を乾燥してます。
熱風の温度は約50℃です。
大根などは、約70℃のお湯で一度茹でてから乾燥室にいれます。
乾燥された野菜は、味が濃縮され、甘くなります。料理に利用する方もいらっしゃいます。
乾燥野菜は、産直直売所で販売しており、あぐり館は市の施設で見学も可能です。

  • 地熱利用の例 野菜乾燥
  • 地熱利用の例 野菜乾燥
  • 地熱利用の例 野菜乾燥
  • 地熱利用の例 野菜乾燥

事例4 温室での野菜栽培(北海道森町)

北海道森町 農林課 農政畜産係 から温室栽培についてお話を伺いました。

森発電所では、地中に戻す還元熱水(約120℃)の一部を森町の所有する熱交換設備で、熱水と真水を熱交換して約65℃の温水を造成しております。その温水は冬期に温室熱源として利用され、外気温が氷点下の時も、室温は約15℃を保持し、トマトとキュウリの生産に一役買っています。トマトは完全に赤くなる前に収穫し、販売する時には真赤色になります。

熱水は、温室近くまでは配管で輸送され、個々の温室内では地表面に設置されたチューブを流れます。温室沿いに熱水が流れる管が設置されており、温室の屋根から落ちてきた雪を溶かしています。なお、発電所の定期点検(1回/年)がある夏場は利用していません。
地熱を利用して冬期に野菜栽培が可能となり、年2回収穫ができることが農家の収入増加につながっています。温室栽培が根付く以前は発電所周辺は水田地帯であり、冬期に作物を栽培することはできなかったとのことです。

熱水利用設備は40年近く経過し老朽化しており、熱交換器は更新したものの、配管などは今後更新する必要があります。また、通常の維持・管理は組合(農家の方々)がされており、電気料金の高騰が続く近年は、ポンプなどの電気代が組合の負担になっています。

熱水循環系モデル

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