地熱発電に関する情報

地熱発電のしくみ

地熱資源は火山性の地熱地帯で、マグマの熱で高温になった地下深部(地下1,000〜3,000m 程度)に存在します。地表面に降った雨や雪が地下深部まで浸透し、高温の流体、すなわち地熱流体(ちねつりゅうたい)となります。これが溜まっているところを地熱貯留層(ちねつちょりゅうそう)といいます。地熱貯留層の上にはキャップロックがあります。
なお、地熱貯留層となるには、熱・水・割れ目の3要素が必要です。

地熱貯留層のイメージ図

地熱発電は、地熱貯留層より地熱流体を取り出し、タービンを回転させて電気を起こしています。

出典:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

発電方式は複数ありますが、最も一般的なフラッシュ式発電と、最近増えているバイナリー式発電を紹介します。

フラッシュ式発電

フラッシュ式発電は、主に200℃以上(地上での温度)の高温地熱流体での発電に適しており、地熱流体中の蒸気で直接タービンを回します。
シングルフラッシュ方式は次のように発電を行います。

地熱発電(シングルフラッシュ)のしくみ

  • 地熱貯留層に 生産井 ( せいさんせい ) を掘り、地熱流体を取り出す。
  • セパレータ(気水分離器)で地熱流体を蒸気と熱水(ねっすい)に分け、熱水は還元井(かんげんせい)から地下に戻す。
  • 蒸気でタービンを回転させ、発電する。
  • 発電し終わった蒸気は 復水器 ( ふくすいき ) で温水にし、さらに 冷却塔 ( れいきゃくとう ) で冷ました後、復水器に循環して蒸気の冷却に使用する。

ダブルフラッシュ方式は、セパレータで分離した熱水をフラッシャー(減圧器)に導入して低圧の蒸気をさらに取り出し、高圧蒸気と低圧蒸気の両方でタービンを回す方式です。高温高圧の地熱流体の場合に採用され、シングルフラッシュよりも約20%出力が増加します。八丁原発電所や森発電所および山葵沢地熱発電所などで採用されています。
海外に目を向けると、ニュージーランドにはトリプルフラッシュ式の発電所があります。

地熱発電(ダブルフラッシュ)のしくみ

バイナリー式発電

バイナリー式発電は、水よりも沸点の低いペンタンや代替フロン(二次媒体(にじばいたい))を使うので、より低温の地熱流体での発電に適しており、地熱流体で温められた二次媒体の蒸気でタービンを回して発電します。

地熱バイナリー発電のしくみ

  • 生産井から地熱流体を取り出す。
  • 地熱流体で二次媒体を温め、蒸気化する。二次媒体を温めた後の地熱流体は、還元井から地下に戻す。
  • 二次媒体の蒸気でタービンを回転させ発電する。
  • 発電し終わった二次媒体は、凝縮器で液体に戻し、循環ポンプで再度、蒸発器に送る。

80℃を超えるような温泉が湧出する温泉地では、その高温の温泉をバイナリー式発電の熱源として使え、熱の有効利用になります。
発電に利用された後の温泉は、温度が下がり、浴用に適温となります。

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